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「日常における不気味なもの+『ワラッテイトモ、』無修正版上映」に参加する。ついに『ワラッテイイトモ、』を観る機会がやってきた。
午後6時過ぎ、カズと道に迷いながらも何とか和敬塾にたどり着き、マーシーと合流。和敬塾は古い建物と異様な緑が相まった、どこか懐かしさを感じさせる不思議な場所だった。耳を澄ましてみたけれど、突撃隊のラッパは聞こえてこなかった。レクチャーの前に、本館内部の見学と、開催中の「通崎睦美(選)展〜通崎好み at 和敬塾」を鑑賞する。本館はこれぞという折衷様式。ぼくみたいな折衷様式好きにはたまらない。どの場所もすごくよかったが、特に2階のサンルームという名のアルコーブ空間をすごく気に入った。広くなく狭くなく、とてもいいアルコーブだった。展覧会は順路に沿いながら、かわいらしい着物や小物を追いかけていくという構成で、ところどころに通崎さんのエッセイからの抜粋文が展示されており、その率直な文章が、また空間にやわらかな印象を与えていた。ひさしぶりに歩くのが楽しいと感じた展覧会だった。 午後7時半から『ワラッテイイトモ、』上映開始。46分05秒という作品の感想は、ただひとこと「気持ちが悪い」。普段よく知るものが、まったく知らない別の何かに姿を変えていく様が、これほどまで「気持ちが悪い」とは思わなかった。強烈な異質さと違和感だけが残り、これから先、何気なくテレビという「窓」を眺めることは、すごく難しいだろう。何かが傷つけられ、損なわれたような気がする。うまくは言えないが、目の前にある風景が信じられない。会場の人たちも、上映直後は過剰なサンプリングに吹き出したりしていたが、徐々にその「ずれ」に引き込まれていき、上映終了後はしばらく放心状態で、誰ひとりとも口を開かない状況になっていた。上映中に何度か小さな地震があったが、それが本当にあった地震なのか、それとも自分がけいれんすることによって起きた震動なのか、それすら確かめることなどできないかのようだった。会場にいた人間はすべて「完全犯罪」に巻き込まれ、共犯者にならざるを得なくなっていた。 その後、五十嵐太郎が登場し、作品の分析と「ずれ」が生み出すものについて、淡々と語リ出した。かなり上の空で聞いていたけれど、『sink』との類似点とあきらかな差異についての話が興味深かったのを覚えている。気を取り直しての北朝鮮報告会は、大変おもしろかった。スライドに次々と映し出される完全にコントロールされた街並は、あまりにも美しすぎて、もはや違和感しか感じなかった。「景観論者たちのつくりたい風景の究極の姿」という台詞が強烈だった。帰り際に真っ暗な「東京カテドラル聖マリア大聖堂」の前を通り過ぎたが、ひどくまがまがしい建物に見えて、とてもこわかった。 > キリンアートアワード2003 審査員特別優秀作品『ワラッテイイトモ、』をめぐって 山形浩生×五十嵐太郎 >『10+1 No.32』–白昼の怪物 彼岸と接続されるテレビ<個室<都市<テレビ 五十嵐太郎
by tzib
| 2005-06-01 23:17
| art/design
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