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「美術と建築のあいだ」シンポジウム
午後から「美術と建築のあいだ」シンポジウムを聴きにいく。パネリストは五十嵐太郎、暮沢剛巳、彦坂尚嘉、南泰裕の4氏。

トップバッターは五十嵐太郎氏。五十嵐氏は建築→美術の視点で、<共同>、<造形>、<現象>、<自作>という4つのキーワードをもとにレクチャーを進行。<共同>では、磯崎新と荒川修作、谷口吉生とダニエル・ビュレンなどの関係を論じながら、米田明の『ポストミニマリズムが現代建築に示唆するもの』(建築文化94年4月号)を引き合いに出し、美術と建築の関係を分析。<造形>では、現代美術から造形的な影響を受けたと思われるアルド・ロッシ、ドミニク・ペロー、ゲーリー、コープ・ ヒンメンブラウなどの作品を紹介。<現象>では、<造形>と同じように現象的な部分で影響を受けた作品の紹介。「光と色」では、ジェームズ・タレルと妹島和世「梅林の家」&バラガン、「オプアート的な視覚世界」では、ブリジット・ライリーと青木淳、「視覚的なパビリオン」では、ダン・グレアムと妹島和世「鬼石多目的ホール」。<自作>で、アート的な要素が多い作品を紹介。東京に現存する建築以下・家具以上の建物を紹介したアトリエ・ワン『ペット・アーキテクチャー』、「リムジン屋台」、中村政人の「セキスイハイムM1」など。最後に<異なること>というキーワードで、展覧会、美術館批判、アルマジロ人間の問題などに触れるが、時間切れであえなく終了。

代わって南泰裕氏のレクチャーがはじまる。南氏は、美術と建築という問題をずらし、補助線を引くという意味を込めて「2次元と3次元のあいだ」というタイトルでロシア構成主義の話題を中心にレクチャーを進行。抽象化の行きつく先には何が残るのか、アートが純粋・自律的なのに対し、建築は社会的な産物であり、コントロールできないものを含む存在であり、「還元できない」。絵画を絵画たらしめているのは「フラットネス」だが、建築は「立体的」かといえばそうではないだろう、2次元→3次元は跳躍から落胆だが、リベスキンドやザハは逆転しているなど。最後に越後妻有トリエンナーレの「空家プロジェクト」を美術と建築の交差点と紹介し終了。

レクチャー後に彦坂氏から「建築は実現されたものが本流なのか。それともドローイングや理念や思想がそうなのか?」という質問があり、その質問に対し五十嵐氏は「歴史を語る上ではどちらも重要」と答え、南氏は「コンペなどは実現案の裏に膨大な数の案が埋もれている」と答える場面があった。彦坂氏はそれらの答えを受け、「建築は建たないものを膨大につくっている。美術もそうである。美術史的にいえば、つくればいいということではないのだ。膨大につくられるものなど捨てられていく。そこでいう制作とはいったい何なのか。」と発言。

次は彦坂氏のレクチャー。70年代の初期の作品から、現在までの作品を時系列的に紹介。とくに興味深かったのは、部屋中にラテックスをぶちまけ、その乾くと透明になる特性を活かしながら、部屋が徐々に透明化していく様子を表現した作品。時間の変化と床の二重性が視覚化していてとてもエキサイティングだった。

レクチャー終了後は、三者と暮沢剛巳氏を交えた対談が開かれる。とくに盛り上がったのは、建築家の設計した美術館への問題について。アーティストと建築家という、美術館という空間をつかう側とつくる側の生の意見の交換というのは、非常にリアルで興味深いやり取りだった。その中で、南氏の「使いにくい、ということはつくることではじめてわかることだ。建築家は機能を収めることはできるし、その先で勝負しようとしている。一方ばかり攻めるのはフェアじゃない」という意見があったが、まったくその通りだと思った。対談終了後は、そのまま懇親会へ移行。ワインを飲みながら、幾つか顔見知りの方にあいさつし、学校に戻る。
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by tzib | 2006-06-24 23:24 | architecture
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