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司馬遼太郎と東京の坂
今日付けの朝日新聞に、司馬遼太郎の特集が掲載されていた。司馬遼太郎が亡くなって、今日でちょうど没後9年目、『街道をゆく』再考という内容。その特集を読んで、朝からいろいろなことを考える。



両親の影響もあって、『燃えよ剣』や『坂の上の雲』『空海の風景』などの有名な作品は読んだことがあるが、朝日新聞で取り上げられていた「街道をゆく」は、なぜか今まで一度も読んだことがなかった。避けていたというわけではないけれど、とにかく縁がなかった。

けれども、記事の中にあった、
「…よく『地をはうような視線』という言葉を肯定的に使うことがありますが、地をはっても上から眺めないと、全体像は得られない。森の中では、その木の一本一本を見つめながら、しかし同時に、俯瞰しないと自分の場所はわからない。(中略)なぜ面白いか。地図の文学だからです。地図と文学は関係ないと思われるかもしれませんが、地図・地誌抜きの歴史はないという考え方が彼の中に濃厚にあったのです。」

「…さまざまな方向から光を当てながら、決して結論を出さない。さんざん考えた末に、すっと大きなところをつかんでいく」

「…『街道』というのはつながりがあるものだと思います。続いていながら、しかも里ごとに異なる個性を持っている。」

などといった文章を読むと、日本に同じ場所などひとつとしてないのだ、と司馬遼太郎と新聞がささやいているような気がして、朝ぼんやりと新聞をめくっていた頭が、ビン底で殴られたかのようにはっとする。先人の素晴らしい記録があったことに気づきさえしなかった鈍感さに、朝一番から激しい憤りを感じる。戒めとしてコーヒーに砂糖とミルクを入れずに飲む。にがい。だめだミルクは入れよう。

今までは、さまざまな場所に隠れている地霊を見つけようと、ただぷらぷら散歩をしながらシャッターを切るだけの行為を繰り返すだけだったが、これからは事前でも事後でも、司馬作品やその他の郷土史、歴史書などを通して、違った意味での地霊のささやきに耳を傾けなければと強く反省する。早く気づけよって感じですが。やっぱり、「地をはうような」視線だけでは見えないことの方が多い。

最近では、東京がなぜ西洋の都市とは異なった構造を持っているように見えるのかという意見に対して、東京には「坂」のような「地形」という構造があるからではないか、との考えで「坂ウォッチング」を断続的に行っているが、もしかしたら『街道をゆく』にその答えの断片が隠されているのかもしれない。さっそく図書館にでも行って確かめてこよう。(朝日新聞にも『東京の坂』というコーナーがあるけれど、本当に東京には坂が多いのです。そして、その坂群の周辺は空気というかたたずまいというか、とにかく何かが違う)ちなみに、大阪サンケイホールでは、安藤忠雄と養老孟司を迎えて、9回目の「菜の花忌」が本日行われるそうです。
>「菜の花忌」関係記事
>司馬遼太郎記念館

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by tzib | 2005-02-12 11:05 | umwelt
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